逆ネット

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逆ネット(ぎゃくネット)とは、通常キー局から系列各局に番組が供給されるのとは逆に、準キー局やそれ以外の系列局からキー局を含む系列各局に番組を供給することである。

長所と短所

長所

主にローカル番組の制作が中心の各地方の系列局が全国向け番組を制作・発信する絶好の機会であり、番組製作の成果を発表する場でもある。特に土曜朝8時~9時30分の時間帯では関西地区4局のワイドショーが長年しのぎを削っており(MBSで現在放送中の「知っとこ!」は7:30~。関西テレビでは8:30~9:55、現在は「にじいろジーン」)、平日午後1時30分枠でも東海テレビ制作昼ドラマ、TBS系列のひるドラ(MBSとCBCで交互に制作)といった2つの昼ドラマ枠が熾烈な視聴率争いを展開している。
また、ここでは列挙していないが、各地の地方局が年数本程度で単発特別番組を全国ネット向けに製作して放送することが多い(主に週末の午後の時間帯や祝日など)。
連続ドラマ枠になる前の東芝日曜劇場(TBS系)ではTBSをはじめ毎日放送(1975年3月までは朝日放送)、中部日本放送RKB毎日放送北海道放送といった基幹各局がそれぞれドラマを制作しており、好評を得ていた。

短所

せっかく東京進出や全国ネット昇格になったものの、地元で人気でも関東地区や全国で人気が上がらず失敗するケースも多い。前述の通り「なるトモ!」(読売テレビ制作)が東京進出を果たしたものの関東地区でのなじみが薄い事から東京で打ち切りになった例などがある。
この一例として、「クイズ仕事人」(ABCテレビ制作、島田紳助司会)のケースがある。当初は関西ローカルで深夜枠だったが人気が高く全国ネット(テレビ朝日系)ゴールデンタイム(月曜夜8時枠)に投入されるや、関西地区では高視聴率をあげたものの、全国ではいまいち人気が上がらず、打ち切りとなっている。まさしく『逆ネット』の難しさを痛感する一例であろう。

ラジオの逆ネット

ラジオのネットワークはAMの場合JRNTBSラジオ)とNRN文化放送ニッポン放送)の二つが存在するが、地域によっては両方のクロスネットに属する局もある。
関西地区の場合はABCラジオMBSラジオのそれぞれがJRN・NRN両方をネットしているが、テレビネットワーク(ABC=ANN、MBS=JNN)の関係でMBS→JRN、ABC→NRNとなるケースが多い。
また、CBCラジオなど形式上はJRN単独でも、関東地区への逆ネットはNRN(文化放送かニッポン放送)になる例もある。

近年の傾向、その他

傾向

近年、ゴールデンタイムにおける逆ネット枠が次々と姿を消して行く傾向が見られる。特に1990年代以降では、長きにわたり関西地区3局(ytv、MBS、ABC)でしのぎを削っていた日曜夜7時~7時30分枠がそろって姿を消したほか、TBS系列木曜夜8時枠(MBS[1])、TBS系列金曜夜7時枠(MBS→CBC[2])、日本テレビ系列土曜夜10時枠(ytv→1994年より日テレ。現在のエンタの神様枠)、テレビ朝日系列木曜夜7時・7時30分枠(ABCテレビ制作のアニメ枠→1996年10月より1時間統一でテレ朝。現在のいきなり!黄金伝説枠)などが系列局制作枠を在京キー局に明け渡した。これらは全て視聴率低迷やスポンサーセールスの減収、局の意向などによるものであるが、2007年に入ると次のケースが出てきた。関西テレビ製作の「発掘!あるある大事典II」におけるデータ捏造問題により、同番組が打ち切りとなったほか、時代劇以来40年余りにわたり同局で製作してきた(『名人劇場』より花王提供枠だった)フジテレビ系列の日曜夜9時枠がFNSに返上され、2007年4月の改編でフジテレビ製作枠に変更となった([3])。なお、2008年には日本テレビ系列の月曜夜9時枠がytvから日テレへ移行した。

また、全般的に在京キー局各局は地方局制作の深夜番組の逆ネットに対しては消極的な姿勢が見られ、その影響で準キー局制作のUHFアニメ(地方局との共同制作番組含む)などが関西・中京地区などでは各系列局放映にも関わらず、関東地区では独立U局へのネットになる例が多く見られる(編成および権利上の関係などにより、関東地区で視聴出来ない番組も多数ある)。また、一部の番組を除いてBSデジタル局での放映も原則として行っていない。

画質について

逆ネット番組の場合、制作局(系列局)から、NTTマイクロ回線を通じて全国に向けて配信されるため、該当番組の同時ネット放送時間は、在京キー局などにおいて画質が多少劣化する場合がある。

備考

  1. ^ 1999年4月より、夜7時枠が現在のローカルセールス枠(「学校へ行こう!」(→火曜夜8時、その後学校へ行こう!MAXとなり2008年9月に終了)と交換)、8時枠が現在の「うたばん」(火曜夜9時より移行)の時間枠となった。
  2. ^ 2006年11月より「ランキンの楽園」(MBS制作)で枠復活(ただし形式上は水曜日7時枠より移行)。
  3. ^ その後「メントレG」(TOKIO出演、三菱電機ほか複数社提供、2008年9月終了)→「エチカの鏡〜ココロにキクテレビ〜」(タモリ司会、2008年10月~)をこの時間枠で放送。

関連項目