久留米・鳥栖テレビ・FM放送所
久留米・鳥栖テレビ・FM放送所(くるめ・とすテレビ・エフエムほうそうじょ)は、福岡県筑紫郡那珂川町と佐賀県鳥栖市にまたがる九千部山に存在するテレビ、ラジオ放送などの送信所である。
この記事では、2013年に「補間局」として設置された“久留米東デジタルテレビジョン中継局”(くるめひがし-ちゅうけいきょく)についても述べる。
概要
福岡県筑後地方及び佐賀県南東部におけるテレビ放送とFM放送の基幹送信所として位置づけられている。地理的事情で、次の地域の各一部でもここにアンテナを向けている世帯が多く、九州北部の広範囲の地域に住む世帯が利用する。
福岡親局(アナログVHF)の送信所が福岡タワーへ統合される前後の状況は以下のとおり。
- NHK福岡放送局:福岡市中央区天神から、総合テレビVHF3ch・教育テレビVHF6ch。なお、放送局自体は、統合の少し前に現在の六本松地区に移転している。
- RKB毎日放送テレビ:福岡市中央区渡辺通から、VHF4ch。1996年タワー横に本社を移転。
- KBC九州朝日放送テレビ:福岡市中央区長浜から、VHF1ch。統合後も従来の鉄塔は予備送信所として使っていたが、福岡県西方沖地震でアンテナが折れ曲がった。放置すると危険なことや、テレビのデジタル化もあり、後に撤去。
- TNCテレビ西日本:福岡市南区高宮から、VHF9ch。1996年タワー横に本社移転。移転後の本社ビル自体が高層であることもあり、統合後すぐ、高宮の送信アンテナを撤去。
その後も福岡都市圏における建造物の高層化で、福岡タワーや鴻巣山(旧・民放アナログUHF親局の送信所がある)の電波がゴーストなどの電波障害を受け、受信困難になる地域が増加していた。
なお、デジタルテレビの親局送信所はすべて福岡タワーに集約されている。
テレビ放送の完全デジタル化後、鳥栖市の城山による山陰となり、久留米市の一部などで周辺中継局の影響を受けやすくなり、NHK福岡が難視となる地域が現れた。このため国は2012年12月に、「補間局」として“久留米東デジタルテレビジョン中継放送局”を置局させることで解決する方針を決め、申請していたNHK福岡に予備免許を交付した[1]。
所在地
- 在福局・NHK
- 福岡県筑紫郡那珂川町大字五ヶ山字九千部643番地
- STS・FM佐賀・モバキャス
- 佐賀県鳥栖市河内町柚比字頭野国有林3イ林小班
沿革
当初は耳納山系に設置することも検討されたが、九千部山に設けた方が筑後の広い範囲をカバーできるとして、最終的に九千部山に決まった。しかし、県境地域に設けられたこともあり、電波は佐賀県など周辺地域にも広がった。その後、佐賀県の放送局もこの九千部山に鳥栖市向け中継局を設置した(NHK佐賀はNHK福岡と共建、STS・FM佐賀は鳥栖市側に共建で設置)。
- 1964年(昭和39年)8月31日 NHK福岡放送局と福岡のVHF民放3社が、九千部山に久留米中継局を開設。
- 1969年(昭和44年)4月1日 福岡放送久留米中継局、福岡局と同時開局。
- 1971年(昭和46年)7月7日 サガテレビが、九千部山に鳥栖中継局を開設。
- 1991年(平成3年)4月1日 ティー・エックス・エヌ九州(現在のTVQ九州放送)久留米中継局、福岡局・北九州中継局と同時開局。
- 1993年(平成5年)9月1日 エフエム九州(現在のCROSS FM)久留米中継局、福岡局など4局と同時開局
- 1997年(平成9年)4月1日 九州国際エフエム(2011年1月1日に天神エフエムに承継後、同年7月1日ラブエフエム国際放送に社名変更。)福岡局、当地を親局として開局(北九州中継局同時開局)。
- 2003年(平成15年)7月1日 エフエム佐賀鳥栖中継局開局。
- 2006年(平成18年)12月1日 久留米局出力3W、佐賀局出力100W(定格)で地上デジタルテレビジョン放送開始。
- 久留米での放送が遅れたのは、エリア調整により佐賀県での放送開始に合わせたため。
親局と中継局の区分
ここでは、親局と中継局が複雑に入り混じっている。以下に整理する。
親局
- NHK佐賀放送局 九千部山デジタルテレビ放送所(NHK佐賀デジタル総合・教育) ※アナログ総合・教育はなし。
- サガテレビ 九千部山デジタルテレビ放送所(デジタル) ※アナログはなし。
- ラブエフエム国際放送 福岡超短波放送局
中継局
- NHK福岡放送局 久留米テレビ中継局(NHK福岡デジタル総合・教育、アナログ総合・教育)
- NHK福岡放送局 久留米東テレビ中継局(NHK福岡デジタル総合・教育) ※アナログ総合・教育はなし。
- RKB毎日放送 久留米テレビ中継局(デジタル、アナログ)
- 九州朝日放送 久留米テレビ中継局(デジタル、アナログ)
- テレビ西日本 久留米テレビ中継局(デジタル、アナログ)
- 福岡放送 久留米テレビ中継局(デジタル、アナログ)
- TVQ九州放送 久留米テレビ中継局(デジタル、アナログ)
- NHK佐賀放送局 鳥栖テレビ中継局(NHK佐賀アナログ総合) ※アナログ教育、デジタル総合・教育はなし。
- サガテレビ 鳥栖テレビ中継局(アナログ) ※デジタルはなし。
- NHK福岡放送局 久留米FM中継局
- エフエム福岡 久留米FM中継局
- CROSS FM 久留米FM中継局
- エフエム佐賀 鳥栖FM中継局
- ジャパン・モバイルキャスティング 鳥栖送信所
デジタルテレビ放送
ID | 放送局名 | 呼出符号 | チャンネル 番号 |
空中線 電力 |
ERP | 偏波面 | 放送対象地域 | 放送区域 内世帯数 |
運用開始日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
久留米デジタルテレビジョン中継局 | |||||||||
1 | KBC 九州朝日放送 |
- | 31ch | 30W | 300W | 水平偏波 | 福岡県 | 927,399世帯 | 2006年 12月1日 |
2 | NHK 福岡教育 |
13ch | 270W | 全国 | |||||
3 | NHK 福岡総合 |
17ch | 福岡県 | ||||||
4 | RKB RKB毎日放送 |
30ch | 300W | ||||||
5 | FBS 福岡放送 |
21ch | |||||||
7 | TVQ TVQ九州放送 |
26ch | |||||||
8 | TNC テレビ西日本 |
29ch | |||||||
久留米東デジタルテレビジョン中継局 | |||||||||
2 | NHK 福岡教育 |
- | 50ch | 3W | 155W | 水平偏波 | 全国 | 数千世帯 | 2013年 1月25日 |
3 | NHK 福岡総合 |
46ch | 福岡県 | ||||||
佐賀デジタルテレビジョン基幹送信所(九千部山テレビジョン放送所) | |||||||||
1 | NHK 佐賀総合 |
JOSP-DTV | 33ch | 100W | 1.75kW | 水平偏波 | 佐賀県 | 342,121世帯 | 2006年 12月1日 |
2 | NHK 佐賀教育 |
JOSD-DTV | 25ch | 1.7kW | 全国 | ||||
3 | STS サガテレビ |
JOSH-DTV | 44ch | 佐賀県 |
備考
アナログテレビ放送
チャンネル 番号 |
放送局名 | 空中線電力 (映像 / 音声) |
ERP (映像 / 音声) |
偏波面 | 放送対象地域 | 放送区域 内世帯数 |
運用開始日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
久留米テレビジョン中継局 | |||||||
14 | TVQ TVQ九州放送 |
300W / 75W | 4kW / 1kW | 水平偏波 | 福岡県 | - | 1991年 4月1日 |
46 | NHK 福岡総合 |
3.9kW / 970W | 福岡県西部 | 1964年 8月31日 | |||
48 | RKB RKB毎日放送 |
4.1kW / 1kW | 福岡県 | ||||
52 | FBS 福岡放送 |
1969年 4月1日 | |||||
54 | NHK 福岡教育 |
3.9kW / 970W | 全国 | 1964年 8月31日 | |||
57 | KBC 九州朝日放送 |
4.1kW / 1kW | 福岡県 | ||||
60 | TNC テレビ西日本 | ||||||
鳥栖テレビジョン中継局 (数字)はアナアナ変換前のもの | |||||||
23(28) | STS サガテレビ |
30W / 7.5W | 670W / 165W | 水平偏波 | 佐賀県 | 約46,800世帯 | 1971年 7月7日 |
62(26) | NHK 佐賀総合 |
1971年 6月11日 |
備考
FMラジオ放送
新たな事項を追加する際は出典を示してください。本文中に注釈を入れる方式が推奨されています。 |
周波数 | 放送局名 | 呼出符号など | 空中線 電力 |
ERP | 偏波面 | 放送対象地域 | 放送区域 内世帯数 |
運用開始日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
76.1MHz[5] | LOVE FM 福岡局 |
JOFW-FM[5] | 1kW[5] | 1.85kW[5] | 水平偏波 | 福岡市を中心として 同一の放送番組を同時に受信できることが 相当と認められる区域として 総務大臣が別に定める区域[6] |
1,323,963世帯[要出典] | 1997年 4月1日 |
79.7MHz[7] | エフエム佐賀 | (鳥栖中継局) | 20W[7] | 100W[7] | 佐賀県 | - | 2003年 7月1日 | |
82.1MHz[8] | FM FUKUOKA | (久留米中継局) | 30W[8][9][10] | 140W[8][9][10] | 福岡県 | 1973年 12月24日 | ||
83.4MHz[9] | NHK 福岡FM |
1970年 11月1日 | ||||||
86.5MHz[10] | CROSS FM | 1993年 9月1日 | ||||||
90.2MHz[3] | KBC 九州朝日放送 |
(KBC福岡FM)[3] | 1kW[3][4] | 3kW[3][4] | - | 1,262,824世帯(申請による)[3][4] | 2016年 3月頃(変更の場合あり)[3][4] | |
91.0MHz[4] | RKB RKB毎日放送 |
(RKB福岡FM)[4] |
備考
マルチメディア放送
周波数 | 放送局名 | 空中線 電力 |
ERP | 放送区域 | 放送区域 内世帯数 |
---|---|---|---|---|---|
214.714286MHz | Jモバ 鳥栖MMH |
7.5kW[13] | 37kW[13] | 佐賀県、福岡県の各一部 | 約-世帯 |
送信所配置等について
アナログテレビ・FM放送
- NHKは久留米中継局全波と佐賀アナログテレビの鳥栖中継局を同じ場所(那珂川町)から送信。TVQ・CROSS FMとLOVE FMはNHKの設備を間借りしている(TVQの鉄塔は別)。
- RKB・KBCとTNCはアナログは共同建設(那珂川町側)、FBSも後からこの施設を利用。
- なお、1985年頃に鉄塔、局舎を建て替えている。
- FM FUKUOKAは親会社でもある九州電力の業務用無線基地から送信。
- stsアナログは単独で(鳥栖市内側)、FM佐賀はstsの設備を間借り。
- アナログテレビ放送が終了した2011年7月25日午前0時以降は、NHK-FM・CROSS FM・LOVE FMの共用となった。
デジタルテレビ放送
- 久留米中継局とNHK佐賀親局は、那珂川町側のNHK鉄塔の旧・アナログテレビ送信アンテナ上部に、デジタルテレビ送信アンテナを全局共同で設置。従って、佐賀県域のテレビ親局が福岡県に設置される形となった。
- 配置は上部よりNHK佐賀デジタル、NHK福岡・在福民放デジタル。NHK福岡・在福民放は旧・アナログ同様、デジタルも福岡方面にも送信アンテナを設置。
- 局舎はNHKが久留米・佐賀共同。在福民放は5局共同でRKB・KBC・TNC・FBSの旧・アナログ局舎の北側に建設。
- stsは鳥栖中継局の鉄塔上部にデジタルテレビ送信アンテナを設置。
その他
佐賀県内では、テレビのデジタル化によって、これまで見ることができた在福の民放5局が見られなくなるのではという不安が県民の間に広がったことから、古川康前知事が中心となって県内のデジタルインフラストラクチャを整備する動きが進められた。
そうした動きの一環として、佐賀シティビジョン(SCV)など県内のケーブルテレビ事業者が共同出資して、デジタル放送の配信及びインターネット網の整備を目的とした「佐賀デジタルネットワーク」社(SDN)を設立。SDNは佐賀県内の民放テレビがSTSしかなかったことや県の後押しもあり他県に先駆けていち早く、STSと在福の全民放テレビ局6局から再送信の同意を取り付け、久留米デジタル中継局がフルパワーとなったのに相前後して、正式な形での再送信を開始した。
再送信の方法としては、ここから送信されているNHK佐賀・STSと在福民放を、SCV構内にあるSDN本社で受信し、県内に張り巡らせたネットワークを通じて参加ケーブルテレビ会社に配信している。一般的には、この送信所及び大牟田テレビ・FM中継局の電波を直接アンテナで受信できない地域を救済することが目的である。
なお、NHKは県単位が原則となっているため、佐賀局以外の分は対象とならず、また、アナログがVHF11chで放送され佐賀県内の大部分で見られていた熊本放送(RKK)と、熊本県のUHF民放3社については、「福岡県の局が視聴できる以上必要無し」として、同様にデジタル再送信の対象とはならなかった。この為、現在は電波が届いているエリア内の会社でも再送信を行っていない。
また、福岡県初のUHFテレビ中継局である(これ以降に開局した福岡県内の中継局は全局UHFで送信している)。
脚注
- ^ "久留米東デジタルテレビジョン中継局(補間局)の予備免許について -平成25年1月に試験放送開始予定-" (Press release). 総務省九州総合通信局. 7 December 2012. 2012年12月7日閲覧。
- ^ 鳥栖送信所の無線局予備免許を取得(ジャパン・モバイルキャスティング 2014年7月17日)
- ^ a b c d e f g KBC中継局(放送)の概要(総務省) (PDF)
- ^ a b c d e f g RKB中継局(放送)の概要(総務省) (PDF)
- ^ a b c d 無線局免許状等情報(総務省)
- ^ 基幹放送用周波数使用計画
- ^ a b c 無線局免許状等情報(総務省)
- ^ a b c 無線局免許状等情報(総務省)
- ^ a b c 無線局免許状等情報(総務省)
- ^ a b c 無線局免許状等情報(総務省)
- ^ 基幹放送普及計画(総務省)
- ^ 放送普及基本計画第2の2の(1)のウの規定による一般放送事業者の行う超短波放送のうちの外国語放送を行う放送局の放送対象地域
- ^ a b 無線局免許状等情報(鳥栖送信所)(総務省 電波利用ホームページ 2014年12月1日閲覧)