コンテンツにスキップ

電動機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。A. B. (会話 | 投稿記録) による 2009年5月2日 (土) 18:32個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (41.234.58.130 (会話) による ID:25523528 の版を取り消し spam)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

電動機(でんどうき、Electric motor)は、一般に「モーター」や「電気モーター」と呼ばれ、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電力機器原動機の総称である。

一般に、磁場磁界)と電流の相互作用による力を利用して回転運動を出力するものが多いが、直線運動を得るリニアモーターや磁場を用いず超音波振動を利用する超音波モータなども実用化されている。静電気力を利用した静電モーターも古くから知られている。

なお、本来の「モーター」という言葉そのものは、単に「動力」という意味であり、特に電動機に限定した用語ではない。 従って、何らかの動力の役割を果たす構造・機構は、モーターと形容されることもよくある(モーターサイクルやモーターボート、モーターグライダーなどを想起すると分かりやすい)。

以下では最初に、もっと一般的な磁界の変化を利用して回転力を生み出す電動機について説明し、それ以外のリニアモーター超音波モータは末尾で説明する。

電動機の構造

回転する電動機は、軸を持ち回転する回転子(ロータ:Rotor)と、回転子と相互作用して回転モーメントを発生させる固定子(ステータ: Stator)、回転子の回転を外部に伝える回転、回転軸を支える軸受、損失により発生したを冷却する冷却装置などから構成される。

負荷機器と接続するカップリング・回転数を下げて目的のトルクを得るための減速機などが付属装置として接続される。

動作原理

モーターにはいろいろな種類があるが、モーターは固定側(ステータ)と運動側(回転側:ロータ)があって、どちらかが回転変化する磁界を発生して、その磁界の変化によって、駆動力を得るものである。

まず理解しやすい、ステータ側にコイルがあって、コイルに変化する電流を供給することによって、変動する磁界を発生させるモータについて述べて、整流子電動機(Brush Motor)を述べないことにすると、ロータのいろいろな種類が利用できる。

  1. 永久磁石界磁(Permanent Magnet Type): 永久磁石の極を円周方向に配置すれば、ステータの極の移動に伴って、駆動力が発生する。
  2. 電磁石界磁 : ロータに磁界を持たせることは電磁石でも可能であるので、ロータ・ステータとも電磁石とする構成もある。
  3. 透磁率の差(Variable Reluctance Type): 磁性体に突起を設けるなどして、磁力線の通り易いところ通りにくいところを設ければ、駆動力が発生する。
  4. アラゴーの回転盤 : 金属導体をおけば、磁場の変化により、渦電流が発生し、渦電流のつくる磁界との相互作用で、駆動力が発生する。
  5. 巻線誘導電動機 : 導体のコイルをおけば、磁場の変化により、コイルに流れる電流が発生し、それによる磁界との相互作用で、駆動力が発生する。

ある方向に連続的に駆動力を発生するために駆動側のコイルを複数設けて、磁気の位相を順番にずらして駆動力を発生させる配置にする。その方法もまた、いろいろな配置のものが実用化されている。

次に電機子や1次側巻線によって変動する磁界を発生するための電流の種類については次のようなものがある。

  1. 三相交流:商用の三相交流(120度ずつ位相のずれた正弦波)を3つまたはその倍数の数のコイルに供給することによって、回転する磁界を発生することができる。
  2. 単相交流:コンデンサを使って、位相をずらした、もう1相をつくることが多い。
  3. 可変電圧可変周波数制御インバータによる三相交流:商用の三相交流は周波数が一定なので、起動や速度を変えるためなどのために用いられる。
  4. 直流パルス:位相のちがうパルス電圧を、別々のコイルに供給する。いわゆるステッピングモーターがこれにあたる。
  5. 無整流子電動機(Brushless DC Motor)は、センサにより回転子位置を検出し、それによって直流電流の極性を切り替えるものである。

直流モータ、交流モータの区分別はモータの構造の区分でなく、使用法の区分と考えることができ、どちらでも回るモータもありうる。

電動機の分類

その他の分類

  • 高効率電動機 - 高効率電動機の規格に適合したものである。普通型電動機より損失が少ない。

電動機の仕様

電動機の損失

電動機の損失は、入力電力と出力仕事の差として定義される。

  • 全損失
    • 固定損
      • 鉄損: ヒステリシス損・渦電流損
      • 機械損: 軸受・冷却装置の摩擦損・風損
    • 負荷損: 負荷の変動に比例して発生する損失

特殊な電動機

電動機の多くは電気によって磁界の変化を作り出し、その磁界の変化によって回転力を生み出すものが一般的であるが、以下のようにこれ以外の原理・構造を持つ特殊な電動機がある。

リニアモーター

リニアモーター は回転式の電動モーターの回転子に相当する部分を固定子に相当する一直線に長く伸びた部分の上に置いて、磁界の変化によって直線運動を得るものである。

振動モーター

超音波振動モーター

超音波モーターは振動体の変形による細かな位置変化を摩擦によって回転運動や直線運動に変える。 圧電素子による圧電現象を利用しているものは、圧電モータと呼ばれることもある。カメラのフォーカス合わせなどに利用されている。

振動モーター

振動モーターは携帯電話などでの着信を振動で知らせる目的で開発されたものがある。小型のものでは、回転子の重心が偏って作られ回転子自身が振動を作り出す重りとなっているものがある。

関連項目

外部リンク