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ギンザケ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ギンザケ
ギンザケのスモルト
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: サケ目 Salmoniformes
: サケ科 Salmonidae
亜科 : サケ亜科 Salmoninae
: タイヘイヨウサケ属 Oncorhynchus
: ギンザケ O. kisutch
学名
Oncorhynchus kisutch Walbaum1792
和名
ギンザケ銀鮭
コーホーサーモン
シルバーサーモン
英名
Coho Salmon
Silver Salmon

ギンザケ銀鮭、学名: Oncorhynchus kisutch)は、サケ目サケ科に属する魚類の1種[1]。別名: コーホーサーモンシルバーサーモン

天然ではロシア沿海地方から千島列島アメリカ合衆国カリフォルニア州にかけての北部太平洋地域に生息し、北海道河川には遡上しない。外観はシロザケに似ているが、肌目が銀色で背部から尾にかけて小さな黒点を有する。

生態

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河川の上流域まで遡上し、流れの早い浅瀬を選んで産卵する。産卵は10月から翌年2月頃に行われる。外観のみならず産卵行動もシロザケと基本的に似ていて、産卵床は湧水のある砂利層を好み形成する。

産卵後2-3か月程度で孵化・浮上した稚魚は、1-2年間淡水生活をした後に降海して海洋生活へと移行するが、浮上後すぐに降海する個体もいる。サクラマスのように川に残留する個体はほとんどいない。河口付近に棲み、群れを作らずに流れの緩い深みで縄張りを作って生活する。河川での餌は水生昆虫が中心。

体長10-15cmくらいでスモルト化した個体は降海する。降海は、アメリカでは4-5月、千島列島北部では7-8月。3年から4年(海洋生活の開始後1年から2年)で成熟し、50cmから65cmにまで成長した後に母川回帰する。日本での回帰個体の漁獲を目的とする放流は、1974年と翌年の標津川、1978年の伊奈仁川など[2]があるが、夏期の温度上昇のために定着しなかった。以来、放流は行われていない。

ごくまれに、迷いサケとなった遡上個体が北海道の河川で捕獲されることもある[3]。2011年の東北地方太平洋沖地震津波養殖用の生け簀が大量に流出した直後には、三陸地方でも遡上が確認された[4]

海洋では魚食性が強いと言われる[誰によって?]雑食性で、主にイカを捕食する。シロザケやベニザケの分布域よりやや南の海域に分布し、至適水温は9℃程度である。また、表面水温16℃以上の海域では捕獲されたことがない[5]

水産

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五大湖に移植されたほか、宮城県チリでの海面養殖が行われている。

漁獲

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市場に並ぶギンザケ

かつてはオホーツク海ベーリング海での北洋漁業で捕獲されていたが、資源保護の為の漁獲量制限や操業海域の縮小などにより、捕獲はほとんど行われていない。

日本での養殖

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成長が早い事から注目され、1976年に宮城県志津川湾で海面養殖が開始された。1993年まではアメリカからの輸入卵を使用し、最盛期の1991年には27,000トンあまりが生産されたが、低価格なチリ産の影響を受けて低迷し、年間10,000トン程度の生産量となった。さらに2011年、東北地方太平洋沖地震発生時の津波により、養殖施設に壊滅的な打撃を受けた。

しかしその後、復興の補助金事業等もあったことから2014年には生産量・生産額が震災前の水準にまで回復し,その後も養殖経営体数を含め、震災前を上回る水準で推移している[6]

大手商社の三井物産は、チリの大手サケ養殖業者のマルチエキスポートと新会社を設立。三菱商事もチリの養殖会社を総額100億円で買収した。

飼育方法

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スモルト化するまで淡水で養殖して海水順応させた後、生け簀で海面養殖する。淡水でも成熟・産卵する。餌には、スケトウダラのすり身を主原料とした配合飼料を使用する。

海水温が18℃を超えると死亡する個体が増加し、21℃を超えるとほぼ全滅する[7]

利用

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シロザケやベニザケの代用で、昭和中頃[要説明]より食用にされている。養殖の普及と成長の早さから比較的安価であるのにもかかわらず脂が乗っていて美味なため、切り身、塩鮭コンビニエンスストアおにぎりなどによく用いられる。

脚注

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  1. ^ 『改訂新版 世界文化生物大図鑑 魚類』世界文化社、2004年。 
  2. ^ 石田昭夫「標津川に放流した北米産ギンザケについて」『北海道さけ・ますふ化場研究報告』第30号、北海道さけ・ますふ化場、1976年3月、47-53頁、ISSN 04410769NAID 40003538639NDLJP:3506974 
  3. ^ 菊池基弘, 浦和茂彦, 大熊一正「千歳川に遡上したギンザケ(Oncorhynchus kisutch)」『さけ・ます資源管理センター研究報告』第1号、水産庁さけ・ます資源管理センター、1998年、39-43頁、ISSN 13447556NAID 40005228267NDLJP:9218396 
  4. ^ 佐藤秀一「増養殖の被災状況と復興」『日本水産學會誌』第78巻第3号、日本水産学会、2012年5月、490頁、doi:10.2331/suisan.78.490ISSN 00215392NAID 10030312986 
  5. ^ 待鳥精治「北西太平洋における産卵回遊初期のギンザケの分布域と回遊方向」『遠洋水産研究所研究報告』第6巻、遠洋水産研究所、1972年、95-100頁、NDLJP:10374425 
  6. ^ 穂積謙吾「宮城県のギンザケ養殖業経営体における経営の存続 ―生産・出荷面の取組みに注目して―」『日本地理学会発表要旨集』2022年度日本地理学会春季学術大会、2022年、156頁、doi:10.14866/ajg.2022s.0_156 
  7. ^ 大家正太郎, 清水壽一, 堀川芳明, 山本慎一「ギンザケのへい死と水温との関係」『近畿大学水産研究所報告』第3号、近畿大学水産研究所、1989年3月、73-77頁、ISSN 0911-7628NAID 110000224201 

関連項目

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外部リンク

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