コンテンツにスキップ

パグ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パグ
パグ
原産地 中華人民共和国の旗 中国
特徴
出産数 4-6 匹
寿命 11 年
イヌ (Canis lupus familiaris)

パグ(Pug)は、犬の種類(犬種)の一つ。短鼻の小型犬。短毛でダブルコート、垂れ耳、巻き尾性器も短い。毛色はフォーン(サンプル画像の毛色)、シルバーなど。なお、黒以外の毛色の場合はからの周辺及び耳は黒い。フォーンのパグは背中に沿って黒のトレースがある[1]

名前の由来は、ラテン語で「握り拳」を意味する「pugnus(プグヌス)」から、または、中国語で「いびきをかいて眠る王様」を意味する「覇歌(パークー)」から、古い英語で「優しく愛されるもの」からきているともいわれる。英語では'pug'と綴られるため'プグ'とも呼ばれる。

紀元前400年の中国にて既に存在しており、16世紀オランダでは「ダッチマスティフ」・「ドワーフマスティフ」と呼ばれ、日本には16世紀頃にはすでに持ち込まれていたという。

特徴・性質

[編集]
  • 小型犬ながら、骨格はしっかりとしており、鳴き声も落ち着いた低い声である。ときには、高い声も出す。
  • フレンチブルドックとパグの見分け方は、前者は耳が立っており後者は耳が垂れているのが違いである。

健康上の注意点

[編集]

イギリスの王立獣医学校の研究によれば、パグは何らかの障害を抱える確率が他の犬種と比べて1.9倍であると報告されている。頭蓋骨が小さいため脳が押しつぶされ気味であるほか、他の組織もより小さな部位に押しつぶされているといった極端な体型といえるため、鼻腔が狭く呼吸がしにくい、顔の皮膚が余ってしまいたるむことによる皮膚感染症、椎骨が奇形に近いことによる椎間板ヘルニアなどといった病気に罹患するリスクが高いとされた。一方で心雑音、攻撃性、傷害などのリスクは低いともされたが、全体として多くのパグは健康に大きな問題を抱えており、飼育する犬を選ぶ際に重要なのは飼い主の気まぐれではなく犬の健康であると結論づけている[2]

  • 短吻種のため、暑さに弱く、寒さにも弱い。
  • 垂れ耳と、特徴的な顔のしわに汚れがたまりやすく、皮膚病になりやすい。
  • 目が大きいため、眼球表面に傷が付きやすい。目やにも出やすい。
  • 食欲旺盛で肥満になりやすい。
  • 睡眠時にいびきをかくことが多い。いびきがひどい場合、鼻腔狭窄の可能性がある。
  • 壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)という疾患を発症することがある。原因は不明で確実な治療方法も未だ知られていない[3]
  • 呼吸器疾患やアレルギー、皮膚病などにかかりやすい[4]

2024年、カリフォルニア州オーハイ市は新しいペット動物保護条例では、パグやペルシャ猫など、呼吸障害のある猫や犬の繁殖が禁止することを決定。オーストリア、ドイツ、オランダ、ノルウェーを含む多くの国が、一部またはすべての呼吸障害犬の繁殖を禁止または制限している[5]

ギャラリー

[編集]

著名なパグのキャラクター

[編集]

こびとずかん

その他

[編集]

イギリス英語では「(操車用の)小型機関車」をパグ(pug)と呼ぶことがあり[6]、汽車のえほんシリーズ[7]の第12巻『8だいの機関車』の第4話「ふとっちょの局長の機関車たち (The Fat Controller's Engines)」に脇役で登場する黒い小型サドルタンク機関車がこの名前(初期の版では「パッグ」)で呼ばれている。

2010年8月9日に大阪にあるパグの聖地ドッグカフェこふみでパグオフ会が開催されたのが始まりで2018年9月13日、日本記念日協会に、8月9日をパグの日として記念日登録がなされた。

パグの先祖はマスタフでありブタではないので注意が必要である。

ポメパグ(パグラニアン)

ポメパグは、ポメラニアンとパグを掛け合わせたミックス犬(ハイブリッド犬)で、両親の犬種の特徴を兼ね備えた個性的な外見と性格を持っています。ポメラニアンのふわふわとした毛並みとパグのしわの多い顔立ちを受け継ぐことが多く、その見た目は個体によって大きく異なります。比較的小型であり、愛らしい表情と活発な性格から、ペットとして人気のある犬種の一つです。


外見的特徴

[編集]

ポメパグの外見は、ポメラニアン寄りかパグ寄りかで大きく変わりますが、一般的には以下のような特徴を持ちます。

  • 体重:3〜7kg程度
  • 体高:20〜30cm前後
  • 毛質:ポメラニアンのように長毛でフワフワな場合もあれば、パグのように短毛の個体もいる
  • 毛色:ブラック、フォーン(淡い茶色)、ブラウン、クリーム、ホワイトなど様々
  • 顔立ち:パグの特徴である短吻(たんふん)で丸みのある顔を持つことが多いが、鼻がやや長めになる場合もある
  • 耳の形:ポメラニアンの立ち耳になることもあれば、パグの垂れ耳になることもある

このように、親犬の特徴がどのように出るかによって、見た目の違いが大きくなるのがポメパグの魅力です。


性格

[編集]

ポメパグは、ポメラニアンとパグの両方の性格を受け継ぎ、活発で愛嬌があり、人懐っこい傾向にあります。

  • 社交的でフレンドリー:飼い主や家族に対して非常に愛情深く、他の動物や子供とも仲良くできる個体が多い
  • 遊び好きで活発:ポメラニアンのエネルギッシュな性格を受け継ぐことが多く、遊ぶのが大好き
  • 甘えん坊で飼い主に依存しやすい:パグの特徴である甘えん坊な性格を持つため、長時間の留守番が苦手な場合がある
  • 頑固な一面も:ポメラニアンの独立心の強さや、パグのマイペースな性格が出ると、しつけに少し苦労することも

ただし、適切なしつけと愛情を持って接すれば、非常に従順で飼いやすい犬種です。


飼育のポイント

[編集]

ポメパグを飼う際には、以下の点に注意する必要があります。

  1. 運動量の管理
    • 小型犬ながらも運動が好きなので、毎日適度な散歩や遊びを取り入れることが大切。
    • ただし、パグの血を引くため、短頭種特有の呼吸器系の弱さに注意し、夏場の暑さ対策を行う。
  2. 被毛のケア
    • 長毛のポメパグは毎日のブラッシングが必要。
    • 短毛の個体でも抜け毛が多いため、定期的なケアを行う。
  3. しつけと社会化
    • 甘やかしすぎるとワガママになりやすいため、一貫性のあるしつけが重要。
    • 幼少期から他の犬や人に慣れさせることで、社交性を伸ばす。
  4. 健康管理
    • パグ由来の短頭種特有の呼吸器系トラブルに注意。
    • ポメラニアンがかかりやすい膝蓋骨脱臼(パテラ)や、歯の病気にも気をつける。

脚注

[編集]
  1. ^ 小島豊治『図鑑 世界の犬 純血212種』Callar 出版、2012年https://books.google.co.jp/books?id=7TFtBAAAQBAJ&pg=PAPT19 
  2. ^ “Pug health so poor it 'can't be considered a typical dog' - study”. BBC News. BBC. (2022年5月18日). https://www.bbc.com/news/newsbeat-61494094 2022年5月19日閲覧。 
  3. ^ 松木直章 (2008年4月17日). “犬の壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)の病態解析”. 東京大学獣医臨床病理学研究室. 2017年9月17日閲覧。
  4. ^ パグにおすすめのドッグフード人気ランキング10選【2024年最新版】獣医師監修”. INUNAVI(いぬなび). 2024年10月2日閲覧。
  5. ^ Ojai bans breeding of French Bulldogs and other 'Breathing-Impaired' dogs and cats”. 20241030閲覧。
  6. ^ 『ジーニアス英和辞典<改訂版>2色刷』編集主幹小西友七 、株式会社大修館書店、1988年初版・1994年改訂・2000年改訂7版、ISBN 4-469-04109-2、P1424。
  7. ^ TVの『きかんしゃトーマス』の原作に当たる作品だが、TVの該当話「トーマスととくべつなてがみ(Thomas and the Special Letter)」ではパグは出てこない。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]