保守左派
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保守左派(ほしゅさは)は、左翼・右翼の対抗関係において一見すると矛盾するように思われる「保守」と「左派」を結びつけて造られた、特定の政治的立場を指して用いられる言葉であるが、その含意は、文脈によって大きく異なっている。
保守の中の相対的位置づけとしての「左派」
[編集]政治的スペクトルとして左翼・右翼の対抗関係を前提とする構図の中では、保守の中にも、相対的に政策が左翼ないし革新に近い立場も当然存在することになる[1]。
社会主義を「保守」する立場:1980年代以降
[編集]ソビエト連邦から体制が変革されたロシアや、改革開放路線以降の中華人民共和国のように、社会主義経済から資本主義経済へ移行した国家においては、社会主義的要素を残し、維持していこうとする勢力が「保守左派」と称されることがある[2][3][4]。このような立場は、守旧派ともいう[3]。
安倍政権:2010年代以降
[編集]もともと直線的な政治的スペクトルとしての左翼・右翼の対抗関係を前提とする構図では、保守派は経済政策において市場重視の小さな政府を志向し、革新派は政府の介入を重視する大きな政府を志向することが通例であったが、そのような結びつきから離れ、社会統制などの政策では保守・右翼的でありながら、経済政策においては政府の介入を重視する「経済左派」の立場を「保守左派」と呼ぶことがある[5]。
2017年に、『週刊ダイヤモンド』が掲載した特別レポートは、安倍晋三政権下の自由民主党の政策について、大きな政府を志向する「左派的な経済政策」と政治文化としての「保守色の強い右派的な政策」を交互に打ち出す「保守左派」であると論評した[6]。
脚注
[編集]- ^ 世界大百科事典 第2版『左翼』 - コトバンク - 「革命運動や労働運動の内部においても、左派と称されるグループが存在し、また保守派の内部にも左派が存在する。」
- ^ 石郷岡建「[唄の話]旧ソ連国歌に郷愁感じる露国民」『毎日新聞・東京朝刊』2000年12月24日、4面。「ロシア議会が旧ソ連国歌の復活を決めた。プーチン大統領が提案したもので、共産党など保守左派勢力や中道勢力が賛成に回り、...」 - 毎索にて閲覧
- ^ a b 燕「改革派(窓・論説委員室から)」『朝日新聞・夕刊』1993年1月26日、1面。「中国のばあい、改革派は市場経済移行を説き、保守派はマルクス主義や統制にこだわる。つまり、保守派が左傾しているのだ。香港の雑誌で「保守左派」という言葉も見た。一部の専門家は、このまぎらわしさをきらって、保守派を守旧派と言い換えている。」 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ 渡辺長雄「[論点]経済が緊張緩める中台関係」『読売新聞・東京朝刊』1992年5月15日、16面。「これを中国の保守左派は台湾の「和平演変」(平和的手段による社会主義の転覆)策と決めつけているが、改革積極派は沿海地域発展戦略の良きパートナーと見る。」 - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ 竹田恒泰「「左寄り」が日本社会の基準点」『日本人はいつ日本が好きになったのか』PHP研究所〈PHP新書〉。 Google books
- ^ 「“極右”の安倍政権が左派的政策をとり、共産党が「保守」と呼ばれる訳」『週刊ダイヤモンド』2017年11月18日。2020年6月10日閲覧。「安倍首相は自らの野心のため、この「保守左派」という立ち位置を非常に都合よく使い分けてきたといえる。... 選挙のたびに有権者に受けのいい左派的な経済政策を掲げ、選挙を乗り切ると保守色の強い右派的な政策を進めるというサイクルを繰り返している...」 - リンク先はウェブ版全4ページの3ページ目