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1965年MGM保管庫火災

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1965年MGM保管庫火災
現地名 1965 MGM vault fire
日付1965年8月10日 (1965-08-10)August 10, 1965[1]
場所アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 カリフォルニア州カルバーシティ
メトロ・ゴールドウィン・メイヤースタジオ (現・ソニー・ピクチャーズ・スタジオ)
原因短絡によるナイトレートフィルムの発火
結果メトロ・ゴールドウィン・メイヤーが所蔵していたサイレント映画や初期のトーキー映画の破壊
死者1
負傷者0

1965年MGM保管庫火災とは1965年8月10日にカリフォルニア州カルバーシティメトロ・ゴールドウィン・メイヤースタジオ(現・ソニー・ピクチャーズ・スタジオ)の第7倉庫で発生した火災である[1]

短絡によりナイトレートフィルムが発火した事により発生した。

この火災では、最初の爆発により1人が死亡した他、倉庫の中のフィルム全てが破壊された。破壊されたフィルムの中にはMGMやその前身会社が制作したサイレント映画や初期のトーキー映画が多くを占め、この内数百ものフィルムは当時現存していた中で唯一のコピーだった。

背景

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当時の保管倉庫は第3ロットにあったが、防火の為スペースが余分に設けられていた。当時スタジオ長だったロジャー・メイヤー英語版はこの保管庫を「コンクリートバンカー」と評し、当時はフィルムの盗難防止に役立った為良い倉庫とされていたとしている。

保管倉庫にはスプリンクラーは設置されておらず、空調と呼べるものは屋上に設置されていた小さな換気扇のみであった。それにも関わらずメイヤーは「火による会社の損失は限定的だった」とし、スプリンクラーの設置により結果が変わったとは思っていないとした。[2]:12-13

当時の他の大手映画会社と違い、MGMは自身や前身会社のメトロ・ピクチャーズ英語版ゴールドウィン・ピクチャーズ、そしてルイス・B・メイヤー・ピクチャーズ英語版[3]:22がかつて制作した映画の保存に積極的で、フィルムを高額で購入していた[3]:39。 MGMは当時一般的だった過去作品のフィルム処分を行わず、商業的価値が低いとみなされた様な作品の保存も行っていた。1930年代以降MGMは自社所有のフィルムやネガジョージ・イーストマン・ハウス英語版など への寄贈を始め、1960年代前半に入ってメイヤー主導でナイトレートフィルムのプリントを安全フィルムへダビングする作業を始めた[3]:22

火災

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1965年8月10日午後10時頃に短絡が発生し、それにより第3ロットにあった第7倉庫に引火。これにより大規模な爆発と火災が発生し、倉庫の天井がフィルムが入っていた缶に転落した。

ルディー・ベルマー英語版 は当時いた第1と第2ロットの間からも最初の爆発が聞こえたと証言している[2]:12。また、メイヤーは少なくとも1人が死亡したと主張している[2]:12が、当時の報道ではその様な発表は無かった。

火災はかけつけた消防隊により消火されたが、倉庫内に保管されていたフィルムは回収する事は出来なかった[2]:12

MGMがこれまで行ってきた映画の保存活動により、この火災により過去作品の完全な消失には至らなかったものの、ロン・チェイニーが主演した『A Blind Bargain英語版(原語名)』[2]:12や『真夜中のロンドン英語版[4]グレタ・ガルボ主演の『The Divine Woman英語版(原語名)』[2]:12などのフィルムが火災により失われ、フィルムの捜索活動が行われる事となる。

なお、MGMのサイレント映画保存率は68%ほどと、大手映画会社の中で1番高い保存率を誇っている[3]:22

関連項目

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出典

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  1. ^ a b “Explosion Hits MGM Film Vault”. Evening Vanguard: p. 1. (August 11, 1965). https://www.newspapers.com/clip/89801403/evening-vanguard/  オープンアクセス
  2. ^ a b c d e f Pierce, David (1997). “The Legion of the Condemned - Why American Silent Films Perished” (英語). Film History (Australia: Indiana University Press; John Libbey & Company) 9 (1, Silent Cinema). ISSN 0892-2160. JSTOR 3815289. 
  3. ^ a b c d Pierce, David (September 2013) (英語). The Survival of American Silent Feature Films: 1912–1929. Council on Library and Information Resources. ISBN 978-1-932326-39-0. https://www.loc.gov/programs/static/national-film-preservation-board/documents/pub158.final_version_sept_2013.pdf 21 March 2018閲覧。 
  4. ^ Soister, John; Nicolella, Henry; Joyce, Steve; Long, Harry (2012). American Silent Horror, Science Fiction and Fantasy Feature Films, 1913–1929. McFarland. p. 333. ISBN 978-0786435814