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ビネ・コーシーの恒等式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

代数学におけるビネ・コーシーの恒等式 (びね・こーしーのこうとうしき、: Binet–Cauchy identity)とは、ジャック・フィリップ・マリー・ビネおよび オーギュスタン=ルイ・コーシーに由来する、次の恒等式[1]

のことである。ここで、実数複素数(より一般的には可換環)を表す。

ci = ai かつ di = bi とすれば、実数に対するラグランジュの恒等式英語版が得られる。これはユークリッド空間 におけるコーシー=シュワルツの不等式を強化したものである。

証明

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右辺第2項を展開すると

となり、残りの項が導かれる。(第一式から第二式の導出に乗算可換性を用いている。)

ビネ・コーシーの恒等式とスカラー4重積

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n = 3, のとき

すなわち、クロス積スカラー四重積の公式

が得られる。(この式をビネ・コーシーの恒等式ということもある。)

この式をスカラー三重積の性質を使って変形すれば

ベクトル三重積の公式が得られる。

また、c = a, d = b とおくと、

と、ベクトル解析におけるラグランジュの恒等式が得られる。

一般化

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以下の定理はコーシー・ビネの公式として知られている一般化である:

n自然数とし、集合 {1, …, n}[n] と表記する。m を非負整数として、Am × n行列Bn × m行列とする。 S[n] から m 個を選んだ部分集合とし、ASAn個のから S に含まれる添字のを取り出して得られた m × m行列、BSBn個のから S に含まれる添字のを取り出して得られた m × m行列とする。

m × m行列である積 AB行列式

となる。ただし、和において、S は、[n] の部分集合で要素数が m のものすべてを取るとする。

特別な場合として、m = 2 として

を適用すれば

となり、ビネ・コーシーの恒等式が得られる。

脚注

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  1. ^ Eric W. Weisstein (2003). “Binet-Cauchy identity”. CRC concise encyclopedia of mathematics (2nd ed.). CRC Press. p. 228. ISBN 1-58488-347-2. https://books.google.co.jp/books?id=8LmCzWQYh_UC&pg=PA228&redir_esc=y&hl=ja 

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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