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べき乗法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

べき乗法(冪乗法、べきじょうほう)とはある行列の固有値のうち、絶対値最大のものを求める手法の総称であり、いくつかのバリエーションがある。累乗法とも呼ばれる。

典型的には、与えられた行列に対して、適当な初期ベクトルから始めて、逐次

を計算することで、の絶対値最大の固有値に属する固有ベクトルの方向に漸近していくことを利用し、

により絶対値最大の固有値を得る。ただしベクトル列が定ベクトルに収束していくわけではないことに注意する。

また、べき乗法に類似した、絶対値最小の固有値を求める方法として逆べき乗法がある。

収束の証明

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簡単のため、行列の固有値がすべて互いに異なり

であるとする。ここで、に属するの固有ベクトルをとすると、

をみたす。また、は互いに1次独立なので、初期ベクトルはこれらの1次結合により

と表すことができる。ここで、とすれば、は以下のように表される。

仮定よりなので、のときは絶対値最大の固有値に属する固有ベクトルと同じ方向に近づいていく。


絶対値最大の固有値を求めるときは、

より、

となることを利用する。

行列の固有値が重複を持ち更に対角化可能でない場合も、ジョルダン標準形を考えれば同様の考え方で証明できる。

欠点

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最大固有値と、その次に大きい固有値の差が小さすぎる場合、収束が極めて遅くなる。

参考文献

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  • 森正武『数値解析』共立出版、2002年2月。ISBN 4-320-01701-3 

関連項目

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